眠っているはずの妹がうっすらと目を開けた。

その瞳は焦点が定まっていないように見える。必死に意識を奮い起たせ顔を窓に向けた。
僕だと分かると手を弱々しく窓に伸ばし安心したかのようにまた目を閉じた。

そしてその閉じた目から涙が伝っている。
僕はドアに手をかけようとしてやめたんだ。僕が決めた事…。
そして何より両親と妹が望んだ事。

もう後戻りは出来ないんだ。

後戻りは…。