「さーやちゃんは『パパ』だけなんだ」

「・・・・・・」


リクは、

薄茶色の瞳を眇めて

意地悪な角度で

口角を引き上げた。


「ロイヤルミルクティは好きでしょ」


プルトップを持ち上げ

一口飲む。

嚥下するときに喉仏が動く。


「あげる」

「・・・・・・いらない」

「なんで? 俺が飲んだから?」

「そう」

「冷たいなぁ。兄妹なのに。おうちでは仲良しーしてるのにね。外だとさーや冷たいよね」

「っていうか、あんた帰ってきなさいよ。パパが可哀相でしょ!」

「やっぱり『パパ』なんだよねぇ」