「陽葉がね、“槙さん待たせるんじゃない、早く用意しろ”ってうるさいの」




「陽葉ちゃんらしいな」




「歳離れてるのに、生意気」




「それだけ好きなんだよ、“お姉ちゃん”が」




「それは嬉しいけど……」




陽葉とは歳が離れてることもあって、陽葉は、あたしと槙さんのことしか、知らない。




北海道にいた頃、陽葉はまだ、小学生だったから、あたしと頼のことは、ほとんど知らないと言ってもいい。




「明日も仕事?」




「うん、明日は夜勤なの」




病院に、看護士として勤め始めてから、
早1年が経過していた。