ここは大阪にあるとある大学。
昼食をとり終えた生徒が歩く1号館への道を堂々と歩く。
1号館に入ってすぐにある事務室に軽く目をやってすぐに戻す。
残念だけど今日はまだ来てないか。
ちょっとしょげながらエレベーターで3階までのぼって大講義室に入る。
真ん中辺りの列の後ろを陣取っているのはあたしの友達たち。
「あ!!結月ーおはよっ。てかもう昼やけどさ」
結月とはあたしのこと。
桜井結月(サクライユヅキ)
20歳。
残念ながら彼氏はいない。
「う‥こんにちは」
あたしが引きつった顔で挨拶を返すといつも隣に座ってる友恵(トモエ)が嬉しそうに笑ってくれる。
あたし達の声に反応して他の友達がちらほらおはようと挨拶をくれる。
「てか結月ってばまたバッチリおしゃれしてるやん」
「ふふふっ!!そーなの!!どーよ?このワンピ可愛くない?」
あたしは買ったばかりのワンピースの裾を持って広げて見せた。
「ほんまや!!めっちゃ可愛いやぁん」
友恵はふざけて言うあたしに本気で大きく頷いてくれる。
「毎日オシャレしたらえぇのにー」
前の席に座っていたマキが顔だけこちらに向けて呟く。
「う‥。でもさ毎日しても意味ないじゃん?」
「まぁ結月はそうやわなぁ」
マキの口角が少し上がる。音をつけるならば間違いなく“ニヤリ”。