ピンチヒッターだったはずのバイトがすぐには抜けられなくなり、帰りは7時過ぎになるというような内容だった。

あたしは時計を確認する。

蓮君が帰るまではまだ二時間以上もある。


どうしよう。


鍵預かったままだし、帰るわけにもいかないなぁ。


7時かぁ。

ちょうど夕飯時だよね。

お腹空かせて帰ってくるかなぁ。


あたしは部屋の隅にある小さなキッチンへと向かった。

この間のデートのお礼も兼ねて、晩御飯でも作ろうと思ったのだ。

まずは冷蔵庫を開ける。

飲み物と缶詰がいくつか入っているだけ。

一体、いつも何を食べてるんだろう。

蓮君のバイト先はイタリアンレストラン。

まかないがあるから、バイトのある時はそれでしのいでいるんだろう。

あとは、インスタントとかコンビニのお弁当で済ませてるのかもしれないなぁ。


キッチンの戸棚も開けてみる。

やはり、普段お料理をしている形跡は見られない。

あるのは、お鍋一つとまな板と包丁ぐらい。


この状況で作れるものと言えば……あれぐらいしかないよね。