蓮君の唇が離れてあたしはそっと目を開けた。


「先に言うんだもん」


「え? 先?」


「ん。夏祭ん時」


「ええっ」


ウソ……。


あの時、あたしが告白したの聞こえてたんだ。


「な、なんで? わざと聞いてないふりしたの?」


「ま、な。ちゃんとオレから言わせてよ」


蓮君はそう言ってもう一度あたしを抱きしめた。


あたしの頭のすぐ上で蓮君の低い声が響く。


「ずっと心臓痛いのは、お前のせいだよ」


蓮君のこの声が好き……。


「この意味わかる……?」


あたしは小さく首を振った。


「まだわかんねぇの?」


蓮君はまた小さくため息をついた。


ホントはわかってる。

だけど、ちゃんと彼の口から聞きたかったの。



「お前って、実は天然で男振り回すタイプだよな。全然気づいてないだろ?」


「えっ……?」


あたしは思わず顔をあげた。

あたしが男の人振り回すって?

どういうこと?