「だいたい……そもそも誰が悪いんだよ?」


蓮君がパシッとあたしの手首を掴んで、「ああ?」と顔を近づける。


「うっ……」


そう言われると何も言い返せない。


蓮君は嫌味たっぷりに目を細めて、あたしを睨んでいる。


「ごめんなさい」


あたしはシュンとして俯くしかできない。


「まぁ……お前が無事で良かったけどな」


急に優しい声がして思わず顔を上げた瞬間、掴まれていた手首を引き寄せられ、あたしの体は蓮君の腕の中にいた。


蓮君があまりにもギュッと抱きしめるから、あたしは上手く呼吸すらできない。


「痛いとこないか? 頼むから危なっかしいことやめてくれよな……」


あたしはコクコクと蓮君の胸の中で頷いた。


「んと……日向に会ってからオレの心臓休まるヒマねぇよ……」