ハチの家につくと、小柄で可愛らしいお母さんがハチそっくりの笑顔で出迎えてくれた。


ほんとに家の人がいたのだとホッとしたりして。


「オレ飲み物持ってくから、先上がってて。二階の一番奥がオレの部屋だから」


ハチにそう言われて階段をトントンと上がる。




「おじゃましま――す……」


あたしはそっとハチの部屋のドアを開けた。


中に入ると、ハチの香りがした。


モノトーンのシンプルな家具で統一されているけど、ところどころに外国のキャラクターグッズが置いてあるのがハチらしくて、顔が綻んでしまう。

部屋の一番奥にはギターだと思われるものがケースに入った状態で壁に持たれかかるように置かれていた。

壁際には大きなスピーカーのついたコンポがあって、その上の壁面にはあたしの知らない外国のアーティストのポスターやポストカードが貼られている。


部屋の中央には小さなローテーブルがあって、その上に色んなアーティストのCDが無造作に重なるように置かれていた。


蓮君の部屋とも大輔君の部屋とも違う雰囲気。

うん。

いかにもバンドやってる男の子の部屋……って感じだな。


あたしは妙に納得しながら、ローテーブルに置かれたCDに目をやる……。


「あ……これ……」