ハチ……。

いつからいたんだろう。

ひょっとして今の話聞いてた?


「久しぶりっ」


白い歯を見せてにっこり微笑むハチを見て、胸がズキンと痛かった。

これからあたしはハチを傷つけようとしてるんだ……。



「は……ハチ。あのね……」


「今日はどこいく――?」


ハチはあたしの手首を掴んだ。


「あ……遊園地行こっか? 前にチケットもらってたし」


あたしの腕をぐいぐいとひっぱって、歩き出すハチ。

今日はいつも以上に強引な気がする。

ダメ。

このままじゃ、またハチのペースに乗せられちゃう。


「ハチ……? あのね……あたし、今日は聞いてもらいたいことがあって……」


「ふーん……」


ハチはあたしの手首を掴んだまま、突然足を止めた。


「じゃ、オレんち来る? ゆっくり話せるし」


えっ……。

ハチの家?