「先生はやっぱあたしが思うような……ううん、それ以上に素敵な人だった」
「うん。そうだね」
「田中先生が自分の恋人をちゃんと大事にするような人で良かった……。あたし男見る目あるなって思ったもん」
そういうの、なんかわかる気がする。
片想いの相手に彼女がいる場合、彼女を振って自分の方へ向いて欲しいと思う一方で、彼女のことを大事にしているその人が好きって気持ちも同居している。
その二つの気持ちは矛盾してるかもしれないけど……。
あたしは蓮君が好き。
だけどもしも蓮君が浮ついた人なら、きっと好きにはならないと思う。
だから、蓮君には美雨ちゃんを大事にして欲しいっていう気持ちも、あたしの中にはあるんだ。
「ねぇ……日向ぁ」
綾乃はいつものクセで、巻き髪をクルクルと指に絡めながら、その髪の先をボンヤリ見つめている。
「ん?」
「あたし前に……『告白ってなんのためにするのかな?』って言ったことあるでしょ?」
「うん」
「あたし、その答えがわかった気がする」そう言って、綾乃はスッと顔を上げた。
あたしは綾乃の答えをじっと待つ。
――何のために告白するんだろう?
告白を諦めてしまっているあたしにとって、その意味を知ることはとても重要なことのように思えた。
「うん。そうだね」
「田中先生が自分の恋人をちゃんと大事にするような人で良かった……。あたし男見る目あるなって思ったもん」
そういうの、なんかわかる気がする。
片想いの相手に彼女がいる場合、彼女を振って自分の方へ向いて欲しいと思う一方で、彼女のことを大事にしているその人が好きって気持ちも同居している。
その二つの気持ちは矛盾してるかもしれないけど……。
あたしは蓮君が好き。
だけどもしも蓮君が浮ついた人なら、きっと好きにはならないと思う。
だから、蓮君には美雨ちゃんを大事にして欲しいっていう気持ちも、あたしの中にはあるんだ。
「ねぇ……日向ぁ」
綾乃はいつものクセで、巻き髪をクルクルと指に絡めながら、その髪の先をボンヤリ見つめている。
「ん?」
「あたし前に……『告白ってなんのためにするのかな?』って言ったことあるでしょ?」
「うん」
「あたし、その答えがわかった気がする」そう言って、綾乃はスッと顔を上げた。
あたしは綾乃の答えをじっと待つ。
――何のために告白するんだろう?
告白を諦めてしまっているあたしにとって、その意味を知ることはとても重要なことのように思えた。