一通り話すと先生は、「あー……これまだ内緒な」と言ってタバコの火をもみ消した。


「先生いいの? そんな大事な話、あたしなんかにしちゃって……」


そう尋ねる綾乃に先生はあっけらかんと答えた。


「んー、まずかったかもな」


そして両手を伸ばしてウーンと伸びをする。


「なんでかな。武田は信用できる気がする。だろ?」


「先生ずるいね」


綾乃は上目遣いで先生を睨んだ。

「そんな風に言われたら……あたしが誰にも言えなくなることもちゃんと計算済みなんでしょ?」


「ははっ。まさか。そこまで計算してねぇよ」


綾乃は小さくため息をついた。

やっぱり先生は大人で、綾乃のことなんて全部お見通しなんだと。

今日の告白だってドキドキしているのは自分一人で、きっと先生は軽くあしらったにすぎない。





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「そうだったんだ……」


あたしは綾乃の話を聞きながらアイスティーで喉を湿らせた。


「うん。でね……。あたし、先生にひどいこと言っちゃったんだ」


「ひどいこと……?」