店内は外とは別世界のように冷房が効いていて寒いぐらいだった。


それでも喉を潤さなきゃ言葉がひっかかりそうで、あたしはアイスティーをゴクリと一口喉に流し込んだ。

そして話を切り出す。


「綾乃……田中先生のことだけど……」


綾乃は頬杖ついて、アイスラテの氷をストローでカラカラとかき混ぜていた。


そして何事もなかったかのように、ストローを口に咥えながら呟いた。


「知ってる。小柳先生と婚約したんでしょ?」


自分から話を振ったくせに何も言葉が出てこないあたし。

綾乃はそんなあたしに向かってにっこり微笑んだ。


「前から知ってたよ」



「え……」


あたしは思わず口からストローを外してポカンとしてしまう。


どういうこと?

前から知っていたの?

今日初めて春奈から聞いたんじゃなかったの?