あたしは急いで階段を駆け下りて、玄関から外へ飛び出した。


どうしたんだろ?

急に家に訪ねてくるなんて……。

美雨ちゃんに会いにきたのかな?


「蓮君っ、なんで? 美雨ちゃんなら出かけてていないよ?」


「美雨ちゃん?」


蓮君は眉をしかめて怪訝そうな顔をする。


「オレ、お前に用があるんだけど……」


「ええ? あたし?」


「ああ。これ、律子さんから預かってきた」


そう言って、ぶっきらぼうに手にしていた紙袋をあたしに差し出す。

袋の中身はあたしの服だった。

ああ……昨日、律子さんちに置きっぱなしだったもんね。


「わざわざ届けてくれたんだ。ありがとう」


「ん……。それで、今ちょっといいか?」


そう言うと、蓮君はあたしに背を向けて歩きだした。

あたしも慌てて後に続く。