「えっ……コホッ」


突然の質問に驚いて、ジュースがヘンな気管に入ってむせそうになった。


「えとっ……あ……いません」


蓮君の知り合いにホントのことが言えるわけもなく、咄嗟に口から出たウソ。


律子さんは全てを見透かしたような表情であたしの顔を覗き込む。


「ほんと~? “恋してる”って顔してるけどなぁ?」


「えっ……やだっ」


あたしはウソを見抜かれたことに絶句して、意味もなく顔を触る。


「やっぱりね」


律子さんは満足げにふふふと笑った。

――がーん、かまかけたれたぁ。


「あ、でも片想いですから」


あたしは視線を足元に落としてポツリと呟いた。


「告らないの?」


「無理無理! あたしなんてダメですよぉ……」


「ふーん……」


律子さんはそれ以上この件に関しては何も言わなかった。