「ん?」


首を傾げる彼女にあたしは問いかける。


「あの……そのファイル」


そう、そこにあったのは、以前蓮君の部屋で見つけたのと同じファイルだった。

たくさんの女性と蓮君とのツーショット写真が入っていたものだ。



「ああ、これ?」


彼女は鞄からファイルを取り出してパラパラと捲る。

間違いなかった。

あの日見た写真がその中に納められていた。


「それ、前に蓮君の部屋に置いてあったんです」


「ああ……。前に忘れてったことあるんだよね」


「それも……あなたが撮った写真なんですか?」


「そうよー。ちょっとエッチな写真とかも撮ってみようかなって思って。蓮哉には色んな女の子モデルと絡んでもらったの。女の子のモデルはたくさんいるんだけどねぇ……。男ってなかなかいなくてね」


そうだったんだ。

だからあんなにたくさんの女の子と写っていたのかぁ。


「でも、相当嫌がってたけどね。この撮影の時は」


「そうなんですか?」


「蓮哉ってあんなルックスしてるくせに、すっごい性格地味じゃない? ヌードもかなり嫌がっててね、最後まで抵抗してた」


なんか想像できる。

蓮君って昔から目立つことをするのが苦手なんだよね。


「でもね……なんだかんだ言って、いつも最後にはちゃんとやってくれるんだよね。ぶっきらぼうで言葉が足りないとこもあるけど、蓮哉って、優しいんだよね。優しすぎるぐらいなの」


「……知ってます」


思わずポロリと本音が出たあたしは、彼女の視線を感じて慌てて顔を上げた。


「あ……あのっ。あたし、蓮君の幼馴染なんです! だから昔から知ってるっていうか、それだけで……えーと別に……なにかあるわけじゃないんですが」


ああ……もう……バカッ。

なんでこの人にこんな言い訳しちゃってるんだ。


「幼馴染……ってことは、やっぱりあなた、“日向”ちゃん?」


「ええっ。そうですけど……えっ? なんで?」