「そ」


彼女はうっとりとした目で語り出した。


「彼の体は被写体としては最高なの。ほんとキレイ。あんなにバランスのとれた体してる子ってそうそういないのよねぇ」


たしかに……。

あたしは上半身の裸しか見たことないけど、蓮君の体は完璧なプロポーションだと思う。

彼女は蓮君との馴れ初めを説明してくれた。

彼女と蓮君は同じ大学のサークルの先輩と後輩という間柄だった。

2年前、新入生だった蓮君のルックスに惚れ込んだ(あくまで被写体として)彼女が、モデル役を渋る蓮君を口説き落として今にいたるのだとか。


そう言われると全てが納得行く。

あの日この人が大きな鞄を提げていたのは、きっと撮影の機材が入っていたからだ。


――今日のように。


あたしはチラリと彼女の横に置いてある鞄に目をやった。


そしてファスナーが開いたままで中身が見えていた鞄を指差し、思わず叫んだ。




「あぁ……それっ!」