「あの……でも……」


あたしは綾乃に視線を向けた。

さっき綾乃の話の腰を途中で折ったことを思い出したからだ。


だけど綾乃はすぐにこの状況を理解したようだった。


「日向。あたし先帰るね。また今度、話そ」


そう言って鞄を手に持ち立ち上がると、あたし達に挨拶をして去っていった。


「ここ座っていい?」


その女性はベンチを指差して尋ねる。


「あ、はい。どうぞ」


彼女が座るのを確認してから、あたしもその横に腰掛けた。


あたしはおずおずと声をかけた。




「あの……話って……」