いつの間にかすっかり日が暮れていた。


暗い夜道にあたしの足音が響く。



だけどふと気づいた。

その足音は自分のものだけでないことを……。

走りながらも、慎重に耳を澄ます。


背後から誰かの足音が近づいているのがわかった。



な……何?

まさか、痴漢?


足音に混ざって、はぁはぁという荒い息遣いが聞こえる。

その音がすぐ背後に迫った瞬間、あたしの腕が誰かに掴まれた。


「き…」


きゃあああと言う叫び声は上げることができなかった。

なぜなら、あたしの口は背後の人物によって塞がれてしまったから。