もう早く結んでしまおっと。

あたしは蓮君の前髪を束ねてつまんだ。

それから頭の上まで持っていき、ピョンて跳ねすぎないように、一度ねじってから頭に添うように結んだ。


「サンキュ」


蓮君が顔を上げて、極上の笑顔をあたしに向けてくれた。


だっ……だから……。

その笑顔が反則なんだってば。

しかも髪結んでおでこなんかちょっと見せちゃったりして。


か、可愛いよぉおおおおお。

もう、萌えだよ、萌え。


蓮君の悩殺笑顔のせいで力が抜けたあたしは、ストンと腰を落として正座状態になってしまった。

おかげで目線が蓮君と全く同じ位置に……。


蓮君の顔がすぐ傍にある。

触れてみたいな……。



――トクン…トクン…トクン…



蓮君の薄くて形の良い唇……。

桜色みたいにキレイ。

見とれちゃう……。



――トクン…トクン…トクン…



「日向……?」


低いその声をもっと耳元で聴かせて欲しい。


ねぇ?

あたしどうかしちゃったのかな?


あたしはゆっくりと蓮君に顔を近づけた。


途中、一瞬だけためらって……




それから、蓮君の唇にそっとあたしの唇を重ねた。




――好き。


もう、止めらんないよ。