蓮君は視線をCDに向けたまま呟いた。

そのセリフはあまりにも唐突でさり気なかったので、あたしは聞き間違いかと思って一瞬自分の耳を疑った。


「だから……ライブ。一緒に行くか?」


そこでようやく蓮君は顔を上げてあたしの方を見てくれた。


「いっ……行く! 行きたい!」


あたしは両手を組んで、神様に祈るようなポーズで蓮君を見た。


うそみたい……。

蓮君と一緒に大好きなヤマジシンイチのライブに行けるなんて!

ううん、何よりも蓮君があたしを誘ってくれたことがうれしかった。


あたしはもう天にも昇るような気持ちで、本気で神様に感謝したい気分だった。


すっかり舞い上がったあたしは、もう勝手に妄想が膨らんでしまって、『その日は何を着て行こう。おしゃれしなきゃ』とか『ライブだからヒールの高い靴はやめておこう』とか、そんなことで頭がいっぱいになってた。



「ところで。お前勉強大丈夫なの?」


「へ?」