そんな叫び声とともにあたしは蓮君の体を思い切り突き飛ばした。


「いでっ」


その拍子に蓮君は体勢を崩して、傍にあったベッドの柱に頭をぶつけた。


うわああああああ!

あたしってば、なんてことを……!


「だ、大丈夫?」


「大丈夫じゃねっつの」


蓮君はぶつけた頭をさすりながら、目を細めて、呆れたような顔をあたしに向けた。


「ひぃ――ん。ごめんなさい」


蓮君は、はぁっと大きなため息をつくと、うなだれてポツンと呟いた。


「っんと、わけわかんね……。こんな扱いにくいヤツ初めてかも……」


「うっ……ごめんなさい」


「プッ……」


シュンとうなだれるあたしを見て、蓮君が吹き出した。


「なっ……なんで笑うのよー!」


「いや……ほんと忙しいヤツだなって思って……ククッ」


「忙しい?」


あたしはまるで犬の置物のように蓮君の前にちょこんと座って首を傾げる。


「いや、なんでもねー。日向見てっと飽きねーよ」


蓮君はポンポンとあたしの頭を撫でた。

むっ……。

なんか今、微妙に子供扱いされた気がするぞ。


でも……。

ま、いっか。


蓮君の顔はいつもの優しい笑顔だったから、あたしはホッとした。


――良かった。

機嫌直ったみたい。



安心したあたしは、ふと視線をずらした。


ちょうどあたしの座って居る位置の真正面にはコンポが置いてあって、さらにその横には縦型のCDラックがある。

それはCDを縦に10枚ほど立てかけたような高さがあり、ラックの扉部分にはCDケースのジャケットを表に向けて収納できるようになっている。

そして、その中の一枚のCDがあたしの目に留まった。



「あ……ああああああああ!」