「もう、泣くなって。オレ、お前に泣かれたらどうしたらいいか、わかんねーんだよ」


「ご……ごめんなさい」


「ん? いいよ。落ち着くまでこうしててやる」


蓮君は、あたしを抱きしめながらお母さんみたいに、ポンポンとあたしの頭をゆっくりと叩いてくれた。

蓮君の香りに包まれる。

まるでお日様みたいに暖かくて……安心する。


ずっとこのままでいたい――なんてつい甘えちゃいそうだ。


――綾乃?

綾乃が言ってたのは、こういうことなのかな。

あたし、もうわかっちゃったんだ。



――あたし、蓮君が好き。


蓮君はあたしに色んな気持ちをくれる。

笑顔を見ただけでドキドキしたり、冷たくされれば涙が出ちゃうぐらい苦しかったり、こんな風に胸の中にいると、すごく安心しちゃったり。


きっとこれが恋なんだね。

しようと思ってするんじゃなくて。

気が付けばもう恋に落ちてて、理由やきっかけなんか説明できなくて。



――そして止められないんだ。