あたしの声に驚いた綾乃が日誌から顔を上げた。
「どしたの?」
「今日、発売日だった! ヤマジシンイチのアルバム!」
「ああ。日向、好きだもんねぇ」
「ごめん、綾乃! あたしもう行くね。雨が降り出す前に行かなきゃ」
学校からバスに乗って、駅前のCD屋へ向かった。
やがて、バスの窓には水滴がポツポツと模様をつけ始めた。
――あちゃああああ……。
傘持ってないんだよなぁ……最悪。
駅前のバス停に着く頃には本降りになっていた。
CD屋はバス停から30メートルほど先にある。
多少は濡れるけど、走ればなんとかなるかな。
あたしは鞄を頭上に掲げて、走り出そうとした。
だけど、すぐにその足が止まった。
うそ……。
――蓮君だ。
蓮君がちょうどCD屋から出てくるところだった。
蓮君はお店の前で手にしていた傘を広げた。
――ラッキー♪
このまま蓮君の傘に入れてもらっちゃおうっと。
あたしは彼の方へ向かって駆け出した。
「蓮く――」
「どしたの?」
「今日、発売日だった! ヤマジシンイチのアルバム!」
「ああ。日向、好きだもんねぇ」
「ごめん、綾乃! あたしもう行くね。雨が降り出す前に行かなきゃ」
学校からバスに乗って、駅前のCD屋へ向かった。
やがて、バスの窓には水滴がポツポツと模様をつけ始めた。
――あちゃああああ……。
傘持ってないんだよなぁ……最悪。
駅前のバス停に着く頃には本降りになっていた。
CD屋はバス停から30メートルほど先にある。
多少は濡れるけど、走ればなんとかなるかな。
あたしは鞄を頭上に掲げて、走り出そうとした。
だけど、すぐにその足が止まった。
うそ……。
――蓮君だ。
蓮君がちょうどCD屋から出てくるところだった。
蓮君はお店の前で手にしていた傘を広げた。
――ラッキー♪
このまま蓮君の傘に入れてもらっちゃおうっと。
あたしは彼の方へ向かって駆け出した。
「蓮く――」