「オレのこと好きなんでしょ?」


妖しい光を湛えた、切れ長の目があたしを捉える。

顔を傾け、ほんの少し顎を突き出して……まるで挑発するような表情。


あたしはフルフルと小さく首を振りながら後ずさりする。

だけど、その体は背後の壁によってすぐに動きを止められてしまった。


彼はフッと息を漏らすと、何かを企てているかのような瞳をあたしに向けてそのまま近づいてくる。

逃げなきゃ……。

そう思った瞬間……

ダンッ

あたしの顔のすぐ脇に彼の腕が伸びてきたかと思ったら、そのまま両腕を壁について、あたしを囲んでしまった。


「素直になんなよ……」


彼のそのセリフの最後の方は、あたしに息がかかるほど近づいていた。


「やめ……」


言いかけたあたしの口を彼の唇が塞ぐ。


「……んんっ……!!」


いきなりの激しいキスにパニック寸前のあたし。

なんとか彼の体を遠ざけようと手を伸ばしてみたものの、逆にその腕を取られて壁に押し付けられてしまった。

もう完全に彼のペース。


その間も、彼の舌はあたしの口の中をかき乱す。

まるでそれ自体が生き物であるかのような動き。

クチュクチュと二人の舌と唇が絡み合う音が響く。

だんだん体が熱くなり、意識がぼんやりしてくる……。


「あれ? もうギブアップ?」


まるでからかうような言葉。

一瞬唇が開放されたと思ったら、ぼんやりとした視界に彼の瞳が映った。


あたしはまだ残っていた力を振り絞って、必死の抵抗のつもりで潤んだ瞳で彼を睨み返す。



「そういう表情されると……たまんないんだけど」


そう言うと、彼はまたあたしの口を塞いで舌を入れてきた。


「……ん…やめっ……」