居酒屋に、三人は集結した。午後六時半。既に仕事終わりのサラリーマンで店は賑わい始めている。
「要するに、この三人でこの国を変えるのか…」
石川くんも昼間の元気もなく、真顔に語る。今は冗談も洒落も受け付けない空気。夢の内容だけで三人は集まり、クーデターを起こそうとしているわけだから、議論も真剣に内密になって当然だった。
「三人じゃない、四人よ」
宮川さんが訂正する。
「そうなの?なんでそんなこと知ってるの?」
「夢に出てきたあのおじいさんが言ってたの」
「じゃぁ後一人、仲間がいるって事か…誰なんだろう?」
石川くんが考え込む。
「この三人は意外に近い存在で知り合いでもあった。恐らくもう一人も僕らに近い人だと思うな」
高橋さんはビール片手にゴタクを並べる。
「それにしても僕はともかく、何で宮川さんは高橋さんに協力しようと思ったの?一番しなさそうだし」
石川くんは思い出したように聞いた。
「…実は私、先月父を処刑されてるんです」
「…そうだったの、ごめんね」
「いえ、話しておかないといけない事だから。私、国王を恨んでるんです、心から。こう言っちゃなんだけど、自慢だったんです、父が。大きくて…」
「だよね…そりゃツラいわ…きっとお父さんもツラかったんだと思うよ」
「え…お父さんって…違いますよ!父じゃなくて胸の乳の方ですよ」
「…へ?じゃあ乳が処刑されたって…」
「後は想像にお任せします…」
宮川さんはそのまま泣き崩れた。