私は、店内に入り唖然とした。

だって、見慣れたこの店が、まったく違っていた。


何着も服がハンガーラックにかけられて、それは、どれも女性物。

いつも私達が占領していたテーブルには、メイク道具がズラリ。

『一体、どこから持ってきたの・・・?』

晃さんは、何も言わずいつもの通り、奥からコーヒーの入ったカップを持って来た。


「はい!まずは、これでも飲んで―――」

私は、いつもの甘いコーヒーに口を付けた。

漂うコーヒーの匂い。

いつもとは、違う晃さんの顔。

知ってる場所のはずなのに、なんだか落ち着かなかった。

晃さんは、頬杖を付きながら私のほうをジーっと見てた。

『何!何!!今日の私って変??』

自分なりにお洒落して来たつもりだったけど・・・・。

「晃さん・・・。質問ですけど・・・・。」

私は、カップを持ったまま左手を小さく上げた。

「?」

晃さんは、私に目で合図した。


「今から、何が始まるのですか?」

私の言い方が、おかしかったのかな?

晃さんは、小さく鼻で笑った。


「それはね~~」

まるで小さな子供が、悪巧みを思いついたかのような笑みを浮かべて私に切り出した。