手に、柔らかい感覚…

とともに、悲鳴が聞こえて、オレは慌てて目を開ける。

…あれ?

オレ、家にいるつもりだったけど…ここってラブホ?


誰と来たかも忘れてるなんて……記憶、ぶっ飛びすぎかも……


思いながら、その柔らかい人物の顔を確認すると…。


…少し、ふっくらめの丸顔。

優しい円らな目。

色白で、唇だけがぽってり赤い……


「……だれ?」

見覚えの全くない顔に、思わず顔を近付けた時。


「兄貴っっ!」


脳ミソを揺さ振るような声が、響き渡った。

「!?」

顔を巡らせると、その女の子の隣には、見慣れた妹の顔があって……。

…妹連れでラブホに来た記憶は、もちろんあるはずもなく。

オレはやっと、ここが自宅で、ベッドサイドにいるのが、妹と、もう1人であることに気が付いた。

「あ…わりぃ…寝呆けた」

遠慮なしに大アクビをしながら言うと、

「…でしょうね…」

妹の、そのみは呆れ顔だ。