友達の中には、本気で一途な恋愛をしている奴もいて…。

さっきの亮太なんかも、その1人だ。

高校生から付き合っている女と、ずっと続いているという希少価値の高い人種。

亮太には、よく、

『拓海は女に本気になったことがないから』

なんて言われるけれど、それは多分違う。

人の中には、恋愛に向いている人間と、向いていない人間がいて。

それはもう、運動神経の有無のようなものだ。

オレは多分、向いていない人間に入るのだろう。


…適度に楽しく、付き合っていければいい。

そして、その気になったら結婚するかも知れないし、一生独身も、全然アリだ。

全てはノリとタイミング。

他の奴に、何て言われても、自分のしたいようにするだけだ。




「……き」

小さな声が、耳元で聞こえた。

どうやら、あのまま寝てしまったらしい。

…約束の時間……

目をつぶったまま、携帯を手で探す。

意外かも知れないけれど、オレは時間にだけは几帳面なんだ。

――…と…

「キャアッ…」