「今日は行かない。失恋でボロボロなの〜」

冗談ぽくそう答えると、電話の向こうの亮太は鼻で笑ったようだ。

『失恋?ただ悪業がバレて、1人去っただけだろ?』

「悪業って…」

…オレって、悪者?

「付き合い始める時に、ちゃんと言ってるしー」

…契約に入っていないところまで縛り付けようとしたのだから、完全に向こうの契約違反だ。

『拓海はさ〜、モテるんだから、もう少し本気の』

「とにかくさ、明日は行くから」

長くなりそうな亮太のセリフをサッサと遮ると、勝手に通話を終了する。

睡眠の邪魔をされないようにマナーモードに設定すると、足元へ投げた。

…とにかく、眠い。

昨日の夜から連れ回し、ホテルで一泊、その後の別れとくるのだから、女の気持ちは分からない。

いいように使われているのは自分なんじゃ…と疑いたくもなる。

…とにかく…今は…

オレは、シーツに頬をつけると、目を閉じる。

1人きりのベッドはやはり心地好く。

すぐに眠りに吸い込まれていったのだった…。