「う〜……ん…」

しばらく1人、残された部屋で唸った後。

ふと見た部屋の掛け時計で、そんな場合じゃないことに気付いた。


…おっと。ヤバいヤバい。遅刻するって。


素早く起き上がると、脱ぎ捨てたままのデニムに足を通し、引き出しをあさる。

高校生の頃は、思い切り決めたカッコが格好いいと思ってたけど、もうそんな肩に力が入ったスタイルは卒業している。

上の方にあった、ボーダーのカットソーに長めのパーカーを羽織ればそれで完成。

最後に一応鏡で確認すると、柔らかめの髪には、いかにも「今起きました!」風の盛大な寝癖。

仕方なく、それを隠すために、ムースでわしゃわしゃと頭をかき回すと、ポケットに財布と携帯を突っ込んで部屋を出た。