「ホンット、拓海ってサイテー!!」

激しい罵りの言葉とともに、頬に衝撃があった。

「いってぇ…」

頬を押さえるオレを、女は涙を湛えた目で睨みつけてくる。

「サヨナラ!!」

ぶつけるように、そう叫ぶと、身を翻して去って行ってしまった。

後に残されたのは、頬を押さえて立ち尽くすオレと、周りの好奇の眼差し…。

…場所を考えてくれよな…

―有名ジュエリーブランドの店の前では、妙にドラマチックで、目立ちまくりだ。

…まぁ…派手好きな女だったから、去り際も派手、ということで。

ため息混じりに、その場を移動するが、人々の視線はかなり長い間、オレにまとわりついてきた。

「さて…空いた時間はどうするかな…」

…ユキとの待ち合わせまで、まだあと4時間もあるし…

時計をチェックして、オレは大あくびする。

…一旦、家に戻って仮眠でも取るか。

頭の中で、この後のプランを簡単に立てると、オレは頭をかきながら、のんびり歩き出した……。