「何の曲を弾いてるの?」


「・・・この曲は俺の作った曲。曲名は、ない・・」


「曲名が、ない?」


私の言葉に男性はコクンと首を前に振った。
そして、男性の手はギターの音色を蘇らせた。


〜♪〜♪〜♪〜♪〜


(綺麗・・・)


私の心は男性の整った容姿と美しいギターの音色にすっかり酔いしれる。


♪〜〜・・・。


そして曲名のない曲は終わりを告げた。


「まだ居たの?」


男性は私の姿を見て飽きれた口調で呟いた。


「ゴメンなさい!すっかり夢中になっちゃって」


私がそう言うと男性はギターを肩にかけ、立ち上がった。


(ーーーっ!)

グイッ・・・!


私の手は自然に男性の服の裾に伸びていた。


「・・・っあの、あなたの名前は!?」


「・・・。俺の名前は、空。杉口 空。」


『空・・・』



ねえ、空。私達の出会いは、本当偶然だったね。 でもね、私は空との出会いは運命だったって、今も信じてるよ・・・?