その日の夜、私はベットの上で携帯を握りしめていた。
電話をかけないといけない人が一人いるから・・・。


「―っふぅ―・・・」


私は大きく息を吐き出し、覚悟を決め、携帯を開いた。


カチッカチッ・・・。


静かな部屋で携帯を扱う音だけが耳に入る。

そして、私は力の入った親指で通話ボタンを押した。


プルルルップルルルッ・・・。


何度も繰り返される呼び出し音がさらに不安を募らせる。


「出てっ・・・!」


そう祈った、その時。


『詩音テメー何すっぽかしてんだよ!』


怒鳴り散らす健太の声。


出たっ・・・。