・・・痛い痛い。
こんなの知らないよぉ。

私は人ごみをただ、押しのける様に前に進む。


空くんから大切だって想われる人を、
羨ましいと思うなんて。


その時。


「ねぇねぇ君一人?」


「―!?」


私の目の前を塞いだガラの悪そうな男。


「ちょっと付き合ってよー♪君すげえ可愛いしー」


男の手だ私の腕を掴む。


「やっやだ!」


そう叫んだ次の瞬間。


ボカッ!


鈍い音が辺りに響き、頬を押さえうずくまる男。


そして・・・。


「詩音さんに気安く触ってんじゃねーよ!」


空くんっ!!


「―っ!」


私を、助けてくれたの?


「空くんっ・・・」


今気付いた。
いや、今まで気付かないフリをしていただけ・・。

私は、
空くんが好き・・・。



神様、私はどうしたらいいんですか?