左手の薬指に光る
見たことのないリング。


もしかして…


「もう…彼女いるの…?」


そう震える声で聞くと


「…うん。マジごめん。」


そう言って私の手にチョコレートを乗せて


「今までありがとう。」


行ってしまった。

なんでだろう…


「行かないで」なんて言葉は出てこない。


―ううん。


言えなかった。


「……っ。」


私はその場にいられなくなって
思わず走り出した。