桜田さんは遠くを見つめながら
一つ咳払いをするなり答えた。


「最初はさ,普通に就職しようと思ったんだ。
けど,親父がな?時計屋はまるで“タイムトラベラー”になった気分になるって言ったんだよ。」


「タイム…トラベラー?」


「そ。タイムトラベラー。
いろんな時計のいろんな歴史に触れるうちに,そんな感覚がするんだって。


それになんか惹かれてさ。」


そうだったんだ。
タイムトラベラーか。


なんか…

「意外と桜田さんて可愛いんですね。」