「今日はこれを渡したくて…」


鈴木さんは茶色い紙袋に手を入れ小さな箱を取り出した。


なんだろう?


「これはね,私の家内が残したものなんだが…持っておくよりも
ここに置いてもらうほうが良い気がしてね。」


鈴木さんはゆっくりと箱を開けると

そこからはいかにもアンティークな時計が顔を出した。


「可愛い…」


すると鈴木さんは少し驚いて私を見た。


「あ,ごめんなさい勝手に…」


「いやいや,そう言ってもらえるなんて思ってなかったから嬉しいよ。

きっと家内も喜ぶ。」


鈴木さんは優しく笑った。