「先に店入ってて。5分後に俺も行くから」


「はい……」



私にまた頭を下げて木下さんは店に入って行った。



和人を見上げると店の前なのに額にキスをしてきた。



「か……和人!」


「ありがとう。信じてくれて。触らないでって俺の腕を掴んできてくれたのも嬉しかった」



優しく笑って一回り小さい私をギュッと抱き締めた。



「依然の私なら怒って走って逃げてたもんね」


「うん……だからすごく嬉しい」



勝手に体が動いたんだもん。もう何があっても和人が裏切るようなことはしないって私の中でインプットされてるんだ。



「エリが木下さんかもって教えてくれてもよかったのに……」


「きちんと確かめるまでは黙っておいたほうがいいと思って……サクラに言ったら木下さんに電話かけそうだし」


「ぷ……確かに」



バカなことしないでってキレて電話してそう。和人も私の性格をきっちり分かってるね。