「サクラ、後つけよう?」
真央に手をひかれて木下さんの後を追う。
コツコツとヒールの音を立てて歩いていく彼女の向こう側にはイタリアンレストランがあって
「和人……」
店の前には和人の姿。
一瞬、木下さんが振り返って私たちを見たような気がした。
そして和人に小走りで駆け寄ると、つまづいて和人の腕の中に飛び込んだ。
咄嗟に手を伸ばす和人。
他人が見たらどう考えても恋人同士にしか見えない。
「ちょっ……サクラ?」
真央の声なんてもう聞こえてなくて、ツカツカと二人のもとへ歩いていく私。
和人の腕を掴んで二人を引き離した。
「和人に触らないでよ」
木下さんを睨み付けてキッパリと言ってやった。