今までは
季節の移り変わりを楽しむなんて
俺にはなかった
考えたこともなかった―――――

桜ヶ岡大神宮の
風と踊る桜の花びらの薄紅色も

緩やかなに射す榴岡公園の
木漏れ陽の温かい眩しさも

一秒一秒
違う表情をする松島の
海と空の蒼さも

光のページェントとは違う
ストリートJazzが心地よく響き渡る
初秋の定禅寺通も

広瀬川沿いの
仙台国際センター
銀杏の絨毯を
手を繋いで歩いた足音も

待ち合わせした
仙台駅東口のペデストリアンデッキに
舞い降りた
真綿色の雪の冷たさも

ふと
見上げた空
雲を何かの形に
見立てる心のゆとりも


エリがいたから
安らげた―――――