「ところで、何の用だったの?」
「それはね、」
「……―――あぁあああぁ!!!!!!!」
せっかく本題に入ろうとしたあたし達を遮ったのは稀癒だった。
「あ、あ、あんたWingDingのカズだろ?!」
「な、何言ってるの?」
「あらぁー。気付かれちゃったあ。」
あたしは訳が分からず唯ただ目を丸くしていた。
そんなあたしを見ながら壱貴はニヤッとして魅せた。
最近思うけど、壱貴は本当に自分を魅せる事を知っている。
綺麗に調った顔は喩え男でも観入るんじゃ無いだろうか。
初めて会った時は自分で一杯で気付かなかった。
ハッと気が付いた。
思いっきり自分の世界に潜り込んでいた。