そんな嫌みをもろともせず、稀癒はサラッと答えた。


「ああ、それは親の転勤。」

はぁあぁあ?!?!

あたしがどれだけ心配したと思って?!


「一言そー言えば良かったのに…」

ボソッと聞こえない様に呟いたはず。


「だって、悲しそうな顔見たくなかったんだもん。」

しっかり聞こえていたみたいです。
残念。

「稀癒が見たくなかっただけじゃん。あたしはしっかり悲しい顔したし。」

「ごめんって。だからこうしてキヨちゃんの前に現れたろ?」