あたしをキヨ、と呼ぶ人物は唯一人。
……―――まだ小学生にも成らない頃。
よく兄達にからかわれ、機嫌を損ねて喧嘩をすると昼だろうと夜だろうと外へ飛び出して行った。
決して自分から謝らない、と幼いなりに、プライドがあった。
でも、飛び出してから一時間もすると幼いあたしは淋しさ故にこっそりと家に帰って行った。
そんなことを繰り返すうちに近くの公園で独りの男の子を見掛けるようになった。
あたしより、体つきも小さくて淋しそうな、助けて欲しそうな雰囲気だった。
何度も何度も見掛けるうちになんだか気になって仕方無くなってきた。
喧嘩して、飛び出して、泣いて。
泣き止んですぐ思うのはあの男の子。
だから声を掛けた。
あたしの初恋だったんだと思う。