「…私はずっと女の子が欲しかった。生まれてくる子は男の子ばっかりで。」

母さんは女の子が授からないことが辛くて、鬱ぎ込んでしまった。
そんな時、父さんが近くの施設に母さんを連れていった。
そこで、まだ赤ん坊だったあたしをみてどうしても連れて帰りたくなった。
里親という形でしか引き取らせてくれない、ということだったから最初はそうしていた。
でも、あたしを育てるうちに同じ名字を名乗らせてやりたくなった。
だから、なんとか説得して大変な手続きをして養子として迎え入れた。


「本当は、二十歳になったら言うつもりだったの。」

「あたしはずっと疎外感を拭えなかった。お家にいても他所者の気がしてた。だから養子って知ってしまって、やっぱりそうだったのかって思っちゃった。」

「ごめんなさいね、気付いてあげれなくて。男の子ばっかりだったからどう接していいか分からなくなっちゃって。それに妙に気を使ってしまったわ。」

そう言うと、母さんは少し涙を流した。