あたしは首を横に振った。
今は帰りたくない。


「どうしたの?」

「……帰りたく…無い…」

零れ出しそうな涙を必死に堪えながら言った。


「んー、仕方無いなあ。じゃあ俺んちいく?」

驚いて見上げると、微笑んだ顔があった。
帰れって言われると思ったから、思わず一滴だけ零れてしまった。


「無理やりお家に連れて行こうにも場所、言ってくれそうに無いしさあ。だから行こ?」

そう言ってゆっくり歩き出した。