それだけ言うと、あたしはギターをもち、壱貴の手を握って公園の入り口へあるきだした。
突然引っ張られて、転びそうになりながらもあたしに歩調を合わせてくれた。

担任はあたしたちに何か叫んでたけど、気にせず宛もなく歩いた。

どのぐらい歩いただろうか。
ただ夢中で歩いたから、ふと気付くとどこにいるかさっぱりだった。

突然止まったあたしに驚いてあたしの顔を壱貴は覗き込んできた。
多分あたしは困った顔をしていたんだと思う。
だって、現在地が分からなかったから。
そんなあたしを、覗き込んできた壱貴はふっと笑い、声を掛けてくれた。


「お家に送ってあげようか?住所だけ言ってくれればあとは分かるから。」

壱貴の優しさに涙が込み上げてきた。
でも、ぐっと我慢した。
そしたら、我慢した涙の分だけ、誰かにあたしの話を聞いて欲しい気持ちになった。