忘れていると思っていたあたしのメロディ。

でも、きっかけさえ有れば直ぐに思い出せた。


懐かしさに身を任せ口ずさむ。
次々と溢れてゆく言葉達は始めは小さく個々としていたのに、いつの間にか大きくひとつの歌詞になっていた。

歌うつもりは無かったのに気付けばあの頃のようにお腹から声を出していた。


一曲歌い終えると周りには連だけじゃ無くて子供達まで集まっていた。

あたしを包む拍手が温かくて思わず涙が零れた。


「お母さん、凄い上手いんだね。知らなかった!」

「何で今まで歌わなかったの?」

「それは…」

なんと言えば良いのか分からなくて口籠ると廉が助け船を出してくれた。