「あのさ、話があるの。」
「うん。だから此処まで来たんでしょ?」
「ひとつだけ、お願いしたいの。あたしの話を最後まで聞いて欲しいの。途中で耳をふさがないで欲しいの。」
「……分かった。聞くだけ聞く。」
「引いたり、するかもしれない。それでも、最後まで聞いてくれる?」
「一生懸命話そうとしてるのに、邪険には出来ないよ。大丈夫。」
ほっと一息ついて、葵子の瞳を見つめた。
この瞳に雲をかけるかもしれない。
それでも聞いて欲しい。
………いや、伝えなきゃ。
これはあたしの使命だもん。
唇を離して息をすう。
そして、話を始めた。