ゆっくりと手を伸ばし、カップを持ち上げた。
喉仏がごくりとなる。
少し手が振るえているのが分からないように必死に抑える。
そこへ、すっと手が伸びてきたかと思うと同時にカップを奪い取られた。
「マスター、紅茶を一つ。」
訳が分からなくて顔を上げた。
その先の表情は苦笑いで、
「ゴメン、コーヒー飲めなかったんだね。」
謝られた。
「紅茶は飲めるでしょ?」
首を縦に振る。
するとその人は微笑んで俺の手を握った。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…