ピピピピピ……

デジタルなアラーム音が遠くのほうで響いている。


うっすら開けた瞳に飛び込む朝日のシャワー。

痛いくらいにまぶしくて、思わず目をつぶった。


(またあの夢だ……)


もう、何度見たのかわからない。


黒馬にまたがった黒衣の王子様。

芸能人も真っ青の超絶美形!!


いつもはね、遠くから彼を眺めているだけなんだけど。


今回はついに抱きしめられちゃった!!


いまでもリアルに思い出す。

胸がキュンと痛んで、あたしはもう一度布団の中にもぐりこもうとした。

けど、できない。


(なんで???)


蒲団が重い。

なんか重たいもの。

って言ってもものすごく重いってわけじゃなく。

あたしは布団の上に手を伸ばす。

指先に丸っこくて、ふさふさしたものがあたる。


(毛玉???)


ゆっくりと起き上がり、物体Aを見る。


蒲団の上に赤茶色の塊がある。

ふさふさして、あったかい。

見慣れない長い耳。


(うさぎ???)



「うさぎ――!!」